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ギター倒し
ギターを弾いていた。いや、ギターを倒していた。それで僕は競おうとしていた。誰と?大親友とだ。控室、僕のギター倒しはなかなかのもので、彼を凌駕するものだと思っていた。いざ、ステージに立った。昼下がりで窓の外の陽の光だけを取り込んだアンニュイな客席には、ギターを持った少女達が10人くらい散らばって座っていた。先攻は彼だった。彼は、その場の雰囲気に合ったアルペジオを披露した。なんとも物悲しいのに美しい。8小節終わった頃だろうか、僕は、だんだんと恥ずかしくなってきた。この後披露するギター倒しをどう断ろうか。即席で演奏できるスキルなどない。「さっき控室で練習していた時は、マットが敷いてあったんですが、ここは床が堅いからギターが傷付いてしまいますよね」と苦笑いしつつフェードアウトしようか。
ここで夢が終わった。僕には、ギター倒しで十分なのである。そうすることによって、他が引き立つのである。実際、高校時代はそうであった。僕の方なんて見ていないんだよね。それでもやるのは、それしかできないからなのか?いいや、それもあるだろうけど、客観的にみても、ピエロがお似合いなんだろう。本当は恥ずかしいし惨めでやりたくないんだけど、重力みたいに、逆らえない。
彼は、なんだかんだいって最後には人に優しいから、愛されるが、僕は、表面的にいびつな笑いを生み出してはその場を凌いでいるだけで、本質的には「えっ、そんなやついたっけ」に片付く存在なのである。僕は、生きている。裕福だと思ったらそれは間違いだ。仕送りなど受けていない。親とは絶縁してもいいと思っている。ここまで育ててもらったのは確かに大変な労力だったのかもしれないが、親同士の不仲というのが僕の胸の中で今も深く残る傷となっている。
道化師は、お金なんぞない。あってもそれは借金だ。女なんぞない。あってもそれは売春婦だ。
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